CRAVITYの明るい雰囲気は紛れもなく伝わってくるものであった。メンバーのセリム、アレン、 ジョンモ、ウビン、ウォンジン、 ミニ、 ヒョンジュン、テヨン、ソンミンと話してすぐにそう感じた。日曜日のマンハッタン、CRAVITYはインタビューを始める前からメンバー同士で会話をしていた。
ソンミンさんはお菓子を食べ(Foot candy)、ミニさんはソファのひじ掛けに座り、他のメンバーはEnViが用意していたムードボードで遊んでいたり、EnVi x CRAVITYスティッカーに関心を持っていたメンバーも。インタビューが始まると言うとミニさんはひじ掛けからすでにジョンモさん、ウビンさん、テヨンさんが座っていたソファに移動した。通訳者のパクヨンスさんと九人のメンバーが揃い、インタビューが始まった。
「アドレナリン」の波
まず最初の話題は最新リリースについて。2022年の3月に最新アルバム「LIBERTY : IN OUR COSMOS」をリリースした。若きエネルギーを全面的に表現している曲が多いこのアルバムのタイトル曲「Adrenaline」はアップビートそしてエレクトロニックなサウンドが特徴。ミュージックビデオは学校の校庭をセットにしメンバーの運動姿が観れるものとなっている。
テヨンさんは「このアルバムで私たちの若くて明るいエネルギーを見せたかった」と話した。するとソンミンさんは照れた声で「このカムバックでLUVITYと一緒に時間を共有して本当に幸せです。」まとめるようにアレンさんは「若くて明るい雰囲気を出して、観覧者そしてファンの皆さんにも同じような幸せな感情を感じてほしいです」と述べた。
それに対し頷くメンバー。コロナの影響で元々予定されていた発売日よりは遅れてしまったがその分ファンのLUVITYに楽曲を披露するワクワク感が増えたと。
今後のコンセプト
ファンの方々にどういったものを披露したいかの質問では今後挑戦してみたいコンセプトについて語った。するとすぐにミニさんが「新しいコンセプト!」と。挑戦するコンセプトの可能性は無限であると思うとテンションが上がるCRAVITYのメンバー。お互い目を合わせていた。先ほどから持っていたお菓子から一切手を話さず持っていたソンミンさんは通訳者と話し合った末「トラディショナル!」と言った。最年少のメンバーに注目が集まる中、アレンさんは彼がトラディショナルな韓国コンセプトに挑戦したいと言っています、と説明してくれた。するとソンミンさんはそれに対し首をもげる勢いで頷いた。
他のメンバーも賛成するとセリムさんは背もたれにもたれてカッコつけて言う「セクシーなコンセプトをやりたい!」。するとメンバー全員が「そうだ!」と声をあげたり「オー」と言い、笑っていた。ジョンモさんは「もっと歳をとったら制服コンセプトをやりたい!」と。それにはアレンさんが「もっと大人っぽくなったらスーツを着るコンセプトとか?MONSTA Xみたいな」と補足した。それには他のメンバーも頷いた。
この答えを出してからわずか二日後CRAVITYは自身のインスタグラムに KCON Chicago(韓国の文化と音楽を発信するイベント)で披露したスーツ姿を投稿した。
アイドルになるまで
K-POP第4世代の一グループとして2020年にデビューしたCRAVITY。デビューしてまだ2年しか経っていない彼らだが、先輩アイドルに負けないプロフェッショナルであることが目立った。ここに来るまでには沢山の困難を乗り越えたと。自分たちがやっている事が本当にやりたいことであることを見せるためにもお互い楽しい面を見せる彼ら。
ウォンジンさんは学生時代に学校でパフォーマンスをし、そこからアイドルになりたいとこの道を選んだと。他のメンバーも自分がアイドルになったきっかけを考え始め雰囲気はガラッと真面目なものへと変わった。満面の笑みでミニさんは「三年前に事務所の StarshipでMONSTA Xに会って、それが印象的でしたね、そこからデビューしたいと思い始めました。」と思い出を語った。CRAVITYが先輩であるMONSTA Xと同じ事務所である事を誇らしく思っているのは言うまでもない。
ヒョンジュンさんがあまりしゃべっていないことに気が付いたアレンさんはなにか企んでいるかのような声で「ヒョンジュンは?まだしゃべってないけど」と聞いた。するとヒョンジュンさんが「I was going to answer! 」(今から答えようとしたんだよ!)と目を大きくして言った。そう言うと「他の先輩アイドル方々を見てその人たちがチームとして青春を味わっていたり、活動を一緒に行っていりと、僕もこうしたいと思わせてくれました。」ミニさんはそれにCRAVITYは友達であり家族であると話した。
アイドルとしての経験で彼らは一般的ではないデビューでデビューをした。2020年の4月にデビューしたため、コロナ禍が始まり世界的なロックダウンが始まった。そのため、有観客ライブ、ファンとの交流そしてコンサートなどはここ最近初めてできた。テヨンさんによれば活動できる範囲がスクリーン越しに狭まれた彼らは「こういう機会だからこそ」とイメージトレーニングなど、いろんな分野について学んだりしていた。「目の前にファンがいなかったため、ずっとパワーをくれるファンが目の前にいるとイメージしていました。悔しい思いもありましたが、この経験を経て強くなれた気がします」
これにはアレンさんがCRAVITYがこれを機にカメラの前でどう自分を見せるかそしてパフォーマンスのクオリティーを高めるトレーニングに集中したとのこと。「カメラの向こう側にファンがいると知っていたので、ファンのためにパフォーマンスをしていると強く伝えたかったです。」先ほどのわちゃわちゃとは全く違って真剣な眼差しで語るメンバー。コロナ禍という大きな壁が出来たにも関わらずそれを乗り越え今後ももっと成長する姿をみせたい彼ら。
私はメンバーの練習生、そしてアイドルとしての生活をもっと知るためにある質問を聞いてみた。「自分の人生で何か変えるとしたら」
これにはミニさんが迷わず即答「僕は小学生のころの自分に戻ってそばかすを消したいです、日焼け止めを沢山塗って。」さらには英語でも「I don’t like freckles!」(そばかす
が好きじゃない!)と自分の答えを誇張した。だれも想像しなかった回答に全員爆笑し、最初の頃のハイテンションな雰囲気に戻った。
ソンミンさんが「18歳の頃に戻ってもっと早く練習生になって練習をしたかった」というとジョンモさんが「MONSTA Xのメンバーになれるため?」と返しみんなを笑わせた。
本題の質問に戻るようにアレンさんはこたえた「練習生だった間はずっと未来に集中していました。一つの目標に集中しすぎて視野が狭くなっていました。周りの出来事が目に入らなかったほど。全てが楽しい練習生時代を満喫しなかったことを後悔しています、まだメンバーともっと一緒に過ごせた時を、まだすべてがシリアスでは無かったころを。」この答えは他のメンバー全員にとっても共感できるものであった。成功することがプレッシャーで「今」を見失うことは残酷ながらありがちなこと。アレンさんはこの言葉でアイドルは人間であり、目標に向かって走る道中に道を失うこともあると語った。
CRAVITYの夢
まだグループとして若い彼ら。彼らのデビュー前から活動しているグループは高い基準を作り上げた。最終的にはどういうグループとして知られたいかについて聞くと、メンバーは考え込んだ。するとソンミンさんが「CRAVITYの楽曲がよくて何度も何度も聞きたいと思われたいです。あと観てて楽しいって思われたいです。」それにはセリムさんも強い眼差しと優しい声で「虹のようにたくさんの色と魅力とオーラを発揮するグループになりたいです。」
ウビンさんの静けさに気付いたアレンさんは「ウビンは?」と尋ねた。アレンさんの質問で場に再び笑いが起きた。突然の質問に戸惑いながらも英語で答えを出そうとしたウビンさんだったが、あまりの戸惑いに思いを言えなかった彼。それを見たテヨンさんは「うーん、何が言いたいの?」と一言。その一言でも笑いが起きた。そう言いながらもウビンさんの言いたいことをちゃんと理解していたテヨンさんは説明をした。彼によるとウビンさんはCRAVITYが彼らのライブパフォーマンスの良さで知られてほしいと。アレンさんは「ライブパフォーマンスとステージ上の存在感で知られたいです。ウビンくんは僕たちが第4世代で一番のパフォーマーと思われたいと思っていると思います。」と付け加えた。彼らの圧倒的なパフォーマンスを見れば分かる通りCRAVITYにはこの夢を叶えるポテンシャルが溢れるほどある。インタビューの数日後に開催されたKCONではシカゴで楽しくカリスマティックなパフォーマンスを披露した。韓国外の舞台は初めての彼らであったが、それでも実力と努力の結果が発揮できたものになったに違いない。
しかし彼らの実力は歌、ダンス、パフォーマンスだけでは止まらない。メンバーの数人はすでに作曲に挑戦している。セリムさん、アレンさんそしてウォンジンさんは「Adrenaline」 「Gas Pedal」そして「VENI VIDI VICI」の制作軍のメンバーでもある。ジョンモさん、ウビンさん、テヨンさんに作曲への興味について聞くとテヨンさんが「作詞をしたいです。作詞をして心の底からの思いを伝えたいです。最終的にはCRAVITYと僕だけが作れる曲を出したいですね。」と興味を表した。さらにはウビンさんも「実はすでに曲を作ったことが何度かあって、その曲ではCRAVITYのメンバーの声の音色、質を考えながら作りました。いつかLUVITYの皆さんにも聞かせてあげたいです。」アレンさんはウビンさんの曲を好んでいると話した。テヨンさんもドラマチックな声で「(曲たちが)世界に放たれる瞬間を待っている」と言った。
作曲の話題からグループとしての目標の話題へ。ジョンモさんはすぐに思いついたことを話してくださった。「コロナが終わったらワールドツアーをしたいです。状況が落ち着いてきているので次期にできたらうれしいです」そしてテヨンさんは「メンバーがいつまでも仲良しでいて、努力して、いい曲を作って、いい舞台を作っていけたらいいです。」CRAVITYといえば全員に発言をさせたいグループと言っても過言ではない。アレンさんがヒョンジュンさんに話を振ったらヒョンジュンさんはシンプルに「英語マスター」と言った。すると再び笑いが起きた。
今後のCRAVITYのミュージックビデオ
K-popのミュージックビデオはよく作りこまれて、豪華なセットとグラフィックそしてユニークなコンセプトのもとで作られている。韓国外で撮影されているものもありグローバル感が満載なものも。しかしコロナ禍の中デビューしたCRAVITYは今までそういう経験をしていない。それでもCRAVITYのミュージックビデオは沢山のエフェクトとビジュアルを含んでいて見応え満載。
そして今、世界各国へ行きやすくなり、国外撮影の可能性が強まった。世界のどこかでミュージックビデオ撮影をするとしたらどこがいいかと聞くと場を笑いで包み込むような答えを出したのがウォンジンさん。「さっきお昼ご飯を食べたバーガー屋さん」と。アレンさんとミニさんはこの答えについてそのお店が綺麗だったと説明した。
そのお店の名前を聞こうとした瞬間、興奮が隠しきれない声でソンミンさんが「ハワイに行きたい!」と目を輝かせた。他のメンバーが笑顔で反応した。自身に満ち溢れている大きな声で答えた最年少メンバー。共感を示すため私も頷いた。ハワイはCRAVITYの明るくて楽しい雰囲気によく合っていてぴったりだ。話をもっと聞きたくて、行ったことはあるかと聞くと「いいえ」とかわいく拗ねてしまった。それを見たメンバーは、行ける日がいつか絶対来る、と元気付け、ソンミンさんは笑顔になった。「絶対いけるから!有言実行!」と言うアレンさんはみんなを笑顔にした。
次に質問に答えてくれたのはジョンモさんだった。英語でゆっくり「I want… LA」(LA。。。欲しい)と言った。音楽の中心だからなどの理由を想定していたが、彼がアレンさんの顔を何か企んでいるかのようにみて「in Allen’s house」(アレンの家に)。笑いながらアレンさんは「僕の家?あそこは小型カメラでも入らないよ!」
CRAVITY自身も誇りに思える曲ばかりにも関わらずK-pop全般の曲を好んでいる。どんな曲をカバーしたいかまたは自分の曲にしたいかと聞くと全員が自分の答えを叫んだ。テヨンさんはSuperM’s の「Jopping」、「この曲は私たちのナンバーワンのお気に入りカバーです。」アレンさんも「LUVITYのみんなもそう思っている。僕たちにすごく合う曲だと思います、踊りも振付も。テンションが上がる曲で、僕たちも上手にパフォーマンスが出来そうな一曲です。」ミニさんは NCT 127’sの 「Simon Says」を選択。それにはテヨンさんも頷いた。
更にセリムさんはSuperMの「Tiger Inside」をカバーしたいと言い、それには全員が共感。以前6人のメンバーでカバーした一曲でしたが、セリムさんは今後メンバー全員で挑戦したいと語った。
LUVITYに対する無限大の愛
ソウルで開催された初コンサートを振り返れば、まず最初に感想を言ったのはセリムさんであった。「楽しかった!」と言い「コロナ禍であるためファンの歓声が聞けなかったのが寂しかったけど楽しかった。」するとアレンさんが「ファンと身近で会えるいい機会になったと思います。なので聞く事は出来なかったんですけど、いるだけで、そこにいるだけで、そして僕たちのパフォーマンスを見ることでも大きく変わりますね。LUVITYではない友達を連れて来たLUVITYもたくさんいて、その友達がLUVITYになったということも多々あったと知っているので、この機会があって本当によかったです。」
声は聞けなかったもののファンのエネルギーを存分に感じたというウォンジンさん。「そこにLUVITYがいるって考えたたけですごくテンションが上がっていましたし、コンサート中もエネルギーが感じられて楽しかったです。」
インタビューも終わりに近づいて、ファンに伝えたいことについて聞きました。
ミニさんは「人生は一度きりだからその一度をCRAVITYと過ごそう。」と正直に語った。「YOLO!」(人生は一度きり)と連呼するメンバーで笑いが止まらない現場。
ヒョンジュンさんも「応援してくださってありがとうございます。」と感謝の気持ちを明かした。ジョンモさん「LUVITYのみなさんに会いに行くので待っていてください!みなさんに本当に会いたいです!」。「僕たちのことを2年間も待ってくださった皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです。実際に会えることが本当に嬉しい限りです。みなさん健康に気を付けて僕たちを待っていてください」と語るテヨンさん。アレンさんは「LUVITYの皆さんは一人ではないってことを忘れないでください。皆さんのそばにはいつもCRAVITYが付いています。僕たちはいつも皆さんのことを考えてます。皆さんが僕たちに青春を共有してくれて嬉しいです。ありがとうございます。永遠に一緒にいたいです。」
さらにウォンジンさんが「LUVITYは特別な存在です。僕たちはよく「パンデミック中にデビューしてどうですか?」と聞かれますけど、僕たちだけの話ではないです。僕たちのファンもこのパンデミック中に応援してくださっているので。なので実際に会った事がないグループを応援しているLUVITYは特別な存在だと思います。なので僕たちに会えるのを待ってくださったLUVITYにありがとうと伝えたいです。」と話すとアレンさんは「良く言った」と一言。
ファンに対する愛が大きいのはよく伝わりましたね。インタビュー中も常にファンの話をしたり、最後のメッセージまでCRAVITYがファンを愛していることを表現する彼ら。インタビューを締める際にテヨンさんが放った一言が最後にふさわしいものとなった、それが「愛してるよ!」でした。
Photographed by Natalie J;
Art Direction by Nevi Gaetan and Mal Peterson;
Fashion Editor by Mayra Peralta;
Special thanks to Tanner Fletcher and Nicholas Raefski for wardrobe.